1/15(水)命の砦
園長より|2025年01月15日 10時00分
夏川草介「命の砦」(小学館)は、コロナ第一波の医療現場が描かれた小説です。2020年2月、私はまだ登美丘西小学校勤務。3月から、休校措置が取られたあの頃の話です。随分時間が過ぎたように思いますが、5年前の出来事です。
どうしていいのか、いったい何が起こっているのか、今後学校での対応はどうすればいいのか、わからないことばかりの一か月を過ごしました。
そのころ、医療現場では「命がけの闘い」があったこと、計り知れぬ不安の中で精神的に追い詰められた状況があったこと、フィクションではあるというものの嘘はないと描かれている世界に、愕然としながら読み進めました。
今では、インフルエンザと同じように検査をし、投薬措置で対応していることを思えば、驚きしかありません。もちろん重症化するリスクがなくなっているわけではありませんが・・・時間とともに大変だった ことの記憶が薄れることにも自分自身驚きでした。
この物語で描かれている景色をこれからも忘れてはいけない気がしました。「天気が悪い日には、笑顔でいるものだよ」「もし喜びを探しに行くなら、まず十分に喜ぶことである」あとがきには
〈夏川草介/作 小学館文庫〉
蛇足になりますが、夏川草介さんとは「神様のカルテ」が、出会いでした。豊かな言葉が透き通るように伝わってくるお気に入りの作家です。