12/11(水)秋📚くまとやまねこ

園長より|2024年12月11日 10時00分

ある朝、くまはないていました。なかよしのことりがしんでしまったのです。

物語は、ちょっと衝撃的な始まりを告げます。

どこに行くのも、亡くなった小鳥が入った箱を大切に持ち歩くくま。友だちは「くまくん、ことりはもうかえってこないんだ。つらいだろうけどわすれなくちゃ」と、決まって声を掛けました。

くまはとうとう、くらくしめきった部屋に、ひとり閉じこもってしまいます。

〈湯本香樹実/文 酒井駒子/絵 河出書房新社〉

 

グレーの画面にモノクロで描かれた絵はシンと静かなのに、まるで音楽が流れているようで、心にじんと響いてきます。

このあと、やまねこと出会ったくまに、やがて光あふれる、あたらしい時がおとずれます。

「きみはことりとほんとうになかがよかったんだね。こんとりがしんで、ずいぶんさびしいおもいをしているんだろうね。」

やまねこがかけたこの言葉が、くまを救ってくれたのかもしれません。やまねこが奏でるバイオリンの音楽を聴きながら、くまは、ことりとの輝いていた思い出が消えないことに気づきます。死が悲しいのは、それだけ生が素晴らしかった証なのですね。

ついつい遠ざけてしまう「死」をとらえたこの絵本。保護者の方にも是非読んでいただきたいお話です。それぞれの年齢なりにとらえる「死」。それもまた大切です。

紹介してくれたのは、福岡久菜先生。お母さんが買ってこられたことがきっかけで出会った絵本だそうです。